2020年AI業界どうなるか勝手に推測

色んなところでAI業界は幻滅期に入るとか、これからだとか色々書かれてますが、実務レベルで今まで100以上のAI関連のプロジェクトに関わってきた身としては、ちょっと違った視点でこの業界のことを捉えています。

 

まず、普及学の基礎理論として知られるエベレット・M・ロジャーズのモデルでは、新しいものやハイテクなものが普及していく顧客を「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つに分けています。

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https://www.itmedia.co.jp/im/articles/0706/01/news142.html

また、「イノベーター」と「アーリーアダプター」に普及すると新技術や新流行は急激に拡がっていくとされているようです。

 

このように考えると、AI(機械学習)の導入に関してはこんな感じなのではないかと思っています。

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例外はあれど、実際に本格的にAIへの取り組みを開始した企業(イノベーター層)は2016年くらいから始めたところが多い印象です。

その後、遅れてアーリーアダプター層が2017年頃からPoCを開始していき、その後アーリーマジョリティ層が続いていったように思えます。

アーリーアダプター層が2017年から取り組みを開始したことを考えると、AIの普及は2018年頃から加速しており、2019年は多くの企業が取り組み始めていると言えます。

 

2019年、どうだったかと言うと、イノベーター層は実務レベルで成果を上げているところと、一旦AIの本格導入を断念し始めているところに二分化し、アーリーアダプター層は実務レベルでの導入を進める企業となかなか上手くいかずAIへの不信感が出てきている企業に分かれたような印象です。また、2018年あたりから取り組みを始めたアーリーマジョリティ層も少し成功が見え始め、更に拡大させたりしようとしている企業となかなか上手くいかない中で模索を繰り返している企業に分かれたのではないでしょうか。

 

2020年、私の推測では、2016年頃から先んじて取り組んでいるイノベーター層の企業は、事業の様々なところにAI導入を展開していったり社内の教育に力を入れていくのではないかと思います。

また、アーリーアダプター層の企業は実務レベルで成果(利益向上など)を出し始めるのではないかと思います。こういった成果が出始めると、更なる導入や内製化に向けた動きも進むでしょう。

これだけでもAI業界は盛り上がると思いますが、アーリーマジョリティ層がもある特定分野では本格的な導入が進むと思われ、2017〜2019では様子を伺っていたレイトマジョリティ層が2020年にはPoCを開始するのではないかと思います。

そうなってくると、2020年もAI業界は盛り上がり、KICONIA WORKSとしても引き続き様々な支援ができるのではないかと考えています。特に実務レベルで導入しようとしている企業やPoCをやろうとしているところの支援を進めていければと考えています。

 

ということで、いわゆるガートナーの幻滅期というのは個人の感覚ではあまり感じてはおらず、もしかしたら「幻滅期」の概念が違うのかなぁとも思うようになりました。

表にもある通り、やはり成功しなかった(上手く導入できていない)企業も多いのは事実で、こういった事例ばかりが世に出ると幻滅期と感じるだけで、「幻滅期」の裏で「安定期」に向けた成功が多く生み出されるのではないかと考えていますし、そうなるように努力してきたいと思います。

 

2021年はまたどうなるか分からないので、引き続きKICONIA WORKSとしては次なる施策や社内の様々な面でのスキルアップをはかっていきたいと考えています。