AIなどの導入を成功させる組織とは
年間に数十のAI導入のプロジェクト、しかも同業界であることは稀で、多種多様な業界における様々なAI導入を支援している我々ですが、基本は成功(価値創出)させています。
ですが、創業して1年半近くが経ち振り返ると2〜3のプロジェクトにおいて上手くいかなったと感じるプロジェクトがありましたし、前職時代も含めると両手で数えるくらいあります。
そういった失敗したプロジェクトを中心に成功したプロジェクトも含め、なぜ成功したのか、しなかったのかを振り返ってみると、最終的には組織論的な話に行き着いたイメージがあります。
失敗したプロジェクトの顧客先の共通項はこんな感じ。
1. 本気度がない
2. 理解しようとする努力がない
3. 風通しが悪い
4. 経験がない
まず「1. 本気度がない」という話。
これは、予算(お金)などを指しているのではありません。
そのプロジェクトに意思決定者である役員クラスがアサインされていたり、社内のエースメンバーがアサインされているかという話です。
プロジェクトメンバーにこういったメンバーがいない、いてもほぼ関与しておらず名ばかりといった状態の際に何が起きるかというと、いざ何らかの重要な意思決定をする際に、わざわざプロジェクト内容の分からない意思決定者への説明資料を作ったり意思決定をさせる為の時間がかかると行ったことは起こります。
また意思決定する方とすれば、何をやっているか分からないわけで、ただでさえややこしく得体の知れないAIというものに対して、重要な意思決定なんぞしたくないみたいな話になってしまうわけです。
また、寄せ集めのチームの場合は、2番目に書いた話に関係してくるわけです。
「2. 理解しようとする努力がない」
AIってちゃんと考えればさほど難しいものではないけど、そりゃあちょっとは理解しようとしてもらわないとダメです。
そこでプロジェクトメンバーの方々がそのAIプロジェクトの内容や背景をしっかり理解しようとしてくれるか、できるかが重要です。
先に書いた「社内のエースメンバーがアサインされている」というのはここに関係しており、優秀な方がいると理解度が早く、どんどんプロジェクトが進むし、逆にプロジェクトメンバーの多くが理解を試みようとしない(つまりはベンダーさん宜しくねといったスタンス)場合には、トラブルが多くなります。
AIを精度だけで考えると危険な場合が多いです。その背景をちゃんと理解しないと表面上の精度だけをみて、「あ〜だこ〜だ」という話になり、だいたいそのプロジェクトは失敗します。
「3. 風通しが悪い」
これは最近プロジェクトを始める前に確認を重要視しているもの。
AIっていうのはITとかとも同じで、成功した時に色んな波及効果があるし、プロジェクトを進めていく上で部署を横断して進めていかなければならない時もあります。
その際に、社内政治や上下関係などが壁となり成功を阻むといったことが容易に想像できます。
プロジェクトを始める前に、だいたい3〜6人くらいの方と商談をするので、その中には部長クラス、課長クラス、主任クラスが混ざっていることが多いです。
ざっくばらんにヒアリングから始めることが多いのですが、その時に主任クラスの方が全く発言しないとか、上司の顔色伺いながら話しているといった場合には要注意だなということで、プロジェクトの提案やコミュニケーションに細心の注意を払います。
「部下に対して理不尽=ベンダーに対しても理不尽」ということは多く、逆に「社内の関係が対等=ベンダーとの関係も対等」となる印象で、お互い尊敬し合ってプロジェクトに取り組むことが可能です。
「4. 経験がない」
これはなかったらダメということよりも、あったらいいなというレベルでもある。
つまりAIプロジェクトに何らか取り組んだことがあったり、ベンチャー企業とのプロジェクトを進めたことがあるかということ。
前者の経験があった場合には、「AIはこういうものだ」といったある程度期待値が落ち着いていたり、AIへの理解がある状態であることが多く、失敗から学んだ上でのプロジェクトとなるので成功するイメージがあります。
後者のベンチャーとの取り組み経験ですが、これは相手が大企業の時です。どうしても大企業とベンチャーではスピード感が違います。それを理解した上で進められるかどうかということ。
最近我々はプロジェクトの提案をする際に、アルゴリズムの初期設計や費用対効果などに加え、上記のようなことをみて、プロジェクトの成功確率を大よそ算出します。
その上で、成功の自信がある場合には自信満々の提案をし、怪しい場合にはそれをしっかり伝えた上でチャレンジングなプロジェクトであることを理解してもらってから提案をするようにしています。
ということで、
AI導入プロジェクトの成功するか否かは
開始前にほぼほぼ決まっているのです!